Lesson3 女性リーダーの活躍

さまざまな分野における女性リーダーの現状について学びます。
【このレッスンのキーワード】

女性活躍推進法
202030
ダイバーシティ

右下の をクリックして、次ページに進んでください。

Copyright(C) 2020 National Women's Education Center, Japan, All Rights Reserved.
Lesson3 女性リーダーの活躍

さまざまな分野における女性リーダーの現状について学びます。
●「参画」と女性リーダーの重要性

Lesson1で触れたように、男女共同参画を推進するには、女性と男性の双方が「参画」することが重要です。政治政策の立案の議論の過程、会社の経営方針の策定の段階から、男女それぞれの意見が盛り込まれるようにするためです。「参画」が進むことで、立法過程や経営層に関わる女性の割合が増え、それだけ女性の関心を伝えることができます。

しかし、日本における女性議員の割合、そして経営層などの「指導的地位」に女性が占める割合はほとんどが1割以下です。内閣府「女性の政策・方針決定参画状況調べ」(令和元年12月)では、衆議院議員は9.9%、都道府県の本庁課長相当職以上に占める女性の割合は 11.3%、民間企業(100 名以上)の課長相当職以上に占める女性の割合は 11.2%、「初等・中等教育機関の教頭以上」18.6%というのが現状です。

日本政府は、女性の活躍を進めるために、2020年までに社会のあらゆる分野における指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%にするという目標を設定しました。しかし、指導的地位に女性が占める割合は、少しずつ増加しているものの、この数値に達成していない分野は、いまなお数多くあります。



202030

社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする政府が定めた数値目標です。


右下の をクリックして、次ページに進んでください。

Copyright(C) 2020 National Women's Education Center, Japan, All Rights Reserved.
Lesson3 女性リーダーの活躍

さまざまな分野における女性リーダーの現状について学びます。
●学校教育における性別による格差

小学校では教員の6割以上を女性が占めていますが、中学校、高等学校と段階があがるにつれてその割合は低くなっていきます。
教員と校長に占める女性の割合を比較すると、校長に占める女性割合は低く、最も多い小学校の校長でも20.6%にとどまります。大学の教員をみても、女性の割合は准教授25.1%、教授17.4%、学長は11.3%です。



専攻分野による男女の偏り-理系女子の育成-

専門分野別にみても男女の偏りがみられます。大学などの研究本務者(専任の教員)の女性の割合をみると、全体では23.7%ですが、分野別にみると家政は80%、人文科学では32%であるのに比べ、工学は6.4%、理学は9.7%にとどまっています(出所:文部科学省「学校教員統計調査」(平成28年度)より)。
この偏りは教員だけではありません。令和元年度における専攻分野計での大学(学部)及び大学院(修士課程・夜間は博士課程他も含む)における女子学生の割合は、 それぞれ45.4%、32.4%となっていますが、専攻分野別に見ると、人文科学、薬学・看護学等及び教育等では女子学生の割合が高い一方、 理学及び工学分野等では女子学生の割合が低くなっています(出所:文部科学省「学校基本調査」(令和元年度)より)。

科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)のいわゆるSTEMと呼ばれる分野は、 日本のみならず、世界的に、女性の割合が少ない傾向にあります。 しかし日本においては、諸外国に比べて女性研究者の比率の伸びが遅く、文部科学省を中心にさまざまな施策が打ち出されています。

また、科学技術分野の女性の少なさは、女子の進路選択の際に働く固定的性別役割分担意識(ジェンダー・バイアス)などの学校教育の問題としても検討されてきました。 科学技術系専門職の進路選択に、小中高時代に影響を与えたものとして、女性は、家族・親戚、先生などまわりの大人の影響をあげる割合が男性より高いことが報告されています。生徒のロールモデルとして理系の指導者を増やすことも必要といえます。


右下の をクリックして、次ページに進んでください。

Copyright(C) 2020 National Women's Education Center, Japan, All Rights Reserved.
Lesson3 女性リーダーの活躍

さまざまな分野における女性リーダーの現状について学びます。
●女性活躍推進法

日本における女性の管理職割合の低さは、国際比較でみるとより明確です。 以下のグラフから明らかなように、欧米諸国のほかアジア諸国に比べて低い状況にあります。

管理職割合以外の雇用形態でも、女性は働く場面において、希望に応じた働き方ができているとはいえません。
総務省「労働力調査」によると、2018(平成30)年における女性の非労働力人口2,708万人のうち、237万人が就業を希望しています。しかし、就業を希望しているにも関わらず、現在求職していない理由として、出産・育児・介護をあげている女性はおよそ4割に上ります。子育て期の女性に焦点をあてると、第一子出産を機におよそ45%の女性が離職しています。その後、子育てが一段落したあとの再就職にあたっては非正規雇用になる場合が多く、女性雇用者における非正規雇用労働者の割合は半数以上になっています。

右下の をクリックして、次ページに進んでください。

Copyright(C) 2020 National Women's Education Center, Japan, All Rights Reserved.
Lesson3 女性リーダーの活躍

さまざまな分野における女性リーダーの現状について学びます。

このような状況では、女性の管理職登用はなかなか進みません。そこでこの問題の解決にむけて、2016(平成28)年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法 通称「女活法」)が、完全施行されました。 「女活法」は10年間の時限立法です。施行時には、301人以上の労働者を雇用する事業主に、以下の3つを義務づけています。


(1)自社の女性の活躍状況の把握・課題分析
    ・採用者に占める女性比率
    ・勤続年数の男女差
    ・労働時間の状況
    ・管理職に占める女性比率
(2)行動計画の策定・届出
    ・計画期間・数値目標・取組内容・取組の実施時期を盛り込んだ行動計画の策定
    ・都道府県労働局への届出
(3)情報公開
    ・労働者への周知
    ・外部への公表

「女活法」の基本方針は、男女共同参画社会基本法(Lesson6)の趣旨にしたがって、国が策定しました。 都道府県および市町村は、基本方針を勘案し、区域内における施策を計画することになっています(努力義務)。


女性活躍推進法の改正

令和元年5月29日、女性活躍推進法等の一部を改正する法律が成立し、令和元年6月5日に公布されました。 改正内容は以下のとおりです。

1 一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大
 事業主の行動計画の策定・届出義務及び女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されます(令和4年4月1日施行)

2 女性活躍に関する情報公表の強化
(令和2年6月1日施行)

3 特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設(令和2年6月1日施行)

詳細は以下をみてください。
厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ


右下の をクリックして、次ページに進んでください。

Copyright(C) 2020 National Women's Education Center, Japan, All Rights Reserved.
Lesson3 女性リーダーの活躍

さまざまな分野における女性リーダーの現状について学びます。

女性の管理職は以下のグラフのように漸増している状況ですが、「女活法」によって、さらに増えることが期待されます。



ダイバーシティ

女性の活躍は、企業などにおける人材の多様性(ダイバーシティ)を確保することにつながります。それは、人口減少による労働力不足への懸念、ニーズの多様化やグローバル化への対応のみならず、 新たな価値を創造するためにも重要と考えられます。
男女共同参画の推進は、多様な個性が力を発揮・共存できるダイバーシティ社会の実現にもつながります。

ダイバーシティ
「多様性」のこと。性別や国籍、年齢などに関わりなく、多様な個性が力を発揮し、共存できる社会のことをダイバーシティ社会といいます。
(参照 第4次男女共同参画基本計画 用語解説より引用)


右下の をクリックして、次ページに進んでください。

Copyright(C) 2020 National Women's Education Center, Japan, All Rights Reserved.
Lesson3 女性リーダーの活躍

さまざまな分野における女性リーダーの現状について学びます。
このレッスンのポイント
  • あらゆる分野において、日本はリーダーに占める女性の割合が低く、これを増やすことが課題。
  • 男女共同参画の推進は、多様な個性が力を発揮・共存できるダイバーシティ社会の実現にもつながる。
  • 女性活躍推進法は、男女共同参画社会基本法の趣旨にしたがって国が策定。

左のボタンをクリックしてください。Lesson 内容をクイズ形式で確認することができます。
(解答記録は残りません。)

このレッスンはこれで終了です。右下の をクリックして、次のレッスンに進んでください。

Copyright(C) 2020 National Women's Education Center, Japan, All Rights Reserved.