Lesson5 ジェンダー平等に向けた世界の動きと日本

ジェンダー平等の国際的な目標について知り、日本の状況を振り返りましょう。
【このレッスンのキーワード】

女子差別撤廃条約 選択議定書
北京行動綱領
エンパワーメント
持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)

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Lesson5 ジェンダー平等に向けた世界の動きと日本

ジェンダー平等の国際的な目標について知り、日本の状況を振り返りましょう。

Lesson4で学んだように、日本における男女共同参画の取組は、国際的協調の中ですすめられています。女子差別撤廃条約が日本の国内制度改正にどのような影響を与えたかを振り返り、その他にどのような国際的指針があるか、見ていきましょう。

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ジェンダー平等の国際的な目標について知り、日本の状況を振り返りましょう。
●女子差別撤廃条約(CEDAW)と男女共同参画社会基本法

正式名称は「女子に対するあらゆる形態の差別に関する条約」です。国際社会における女性の人権保障への動きが進む中、1979(昭和54)年に国連総会で採択されました。
条約は締結国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動におけるあらゆる分野の男女差別の撤廃、及び積極的改善策など適当な措置をとることを求めています。
日本は1980(昭和55)年に条約に署名、1985(昭和60)年に批准しました。
1999(平成11)年に施行された男女共同参画社会基本法は、女性差別撤廃条約第2条が批准国に要請する、日本における男女平等の実現に向けた基本となる法律です。
基本法の第2条二には、積極的改善措置の記載があります。

男女共同参画社会基本法 第2条

二 積極的改善措置
前号(男女共同参画社会の形成の定義)に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。



選択議定書

女子差別撤廃条約には2000年に発効した選択議定書があります。選択議定書とは、条約に盛り込まれていない事項を条約の一部として定める法的国際文書です。効力を持つには条約締結国によって批准されることが必要ですが、日本はまだ批准していません。
第4次男女共同参画基本計画の第12分野には、女子差別撤廃条約の積極的遵守等に努めるともに、「女子差別撤廃条約の選択議定書については、 早期締結について真剣に検討を進める」とあります。詳細は以下のリンクを参照してください。

【参照】女子差別撤廃条約 選択議定書(日本女性学習財団HP内 キーワード集のリンク)
    第4次男女共同参画基本計画 第12分野 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献
    (内閣府男女共同参画局HPより)


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●北京会議と北京行動綱領

1995(平成7)年に北京で開催された第4回世界女性会議には、国際機関や政府代表に加えて、多くの行政や市民組織の女性がおよそ200か国から参加しました。そこで採択された「北京行動綱領」は、男女の平等と、女性が公的及び私的生活のすべての分野へ積極的に参加するためのあらゆる障害の除去を目的とした、女性のエンパワーメントに関するアジェンダです。採択から20年以上を経た今も、女子差別撤廃条約とともに国連で重視されています。1999年(平成11)に制定された男女共同参画社会基本法にも影響を与えました。
北京行動綱領では、優先的に取り組むべきA~Lの12の重大問題領域が設定され、戦略目標と政府がとるべき行動が具体的に書かれています。そのうち「H 女性の地位向上のための制度的な仕組み」では、女性の地位向上のための政策立案・実施・評価などを行う国内本部機構の設置を義務づけるとともに、そのために必要な男女別データやスタッフの訓練などを政府がとるべき行動としています。北京行動綱領の重大問題領域は、毎年開催される国連女性の地位委員会(CSW)の主要議題にも反映されています。

北京会議の様子とポスター
(国立女性教育会館 女性デジタルアーカイブシステム
全国婦人新聞社取材写真コレクションより)


エンパワーメント

力をつけること。また、自ら主体的に行動することによって状況を変えていこうとする考え方のこと。(第4次男女共同参画基本計画 用語解説より)




北京+25

2020年は、1995年に北京で開催された第4回世界女性会議(北京会議)から25年目にあたります。国連女性機関UNWomenは、北京+25に向けた「ジェンダー平等のためのグローバルフォーラム」を企画。また、「世代間の平等:ジェンダー平等の未来を目指して女性の権利を実現」をテーマとした「北京会議+25周年記念キャンペーン」など、北京から25周年の節目のイベントが行われます。
日本女性学習財団「キーワード・用語集」より一部引用


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●SDGs(Sustainable Development Goals)とジェンダー平等

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、先進国を含む国際社会全体の開発目標です。2030年を期限とする包括的な17の目標・169ターゲットを設定しています。「誰一人取り残さない(leave no one behind)」社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組みます。
ゴール5ではジェンダー平等の達成と全ての女性及び女児のエンパワーメントが掲げられました。これは北京行動綱領でとりあげられたジェンダー平等の実現の目標達成時期が2030年と明示されたと同時に、ジェンダー平等が発展途上国だけでなく先進国も含めた目標になったことを意味します。


SDGsのロゴ(国際連合広報センター)

【参照】女性と持続可能な開発目標(SDGs)UN Women日本事務所のサイトより



SDGsの前身(MDGsと人間の安全保障)

SDGs の目標は、MDGs(Millennium Development Goals: MDGs)の成果を土台として設定されました。MDGs は2000年に採択された「国連ミレニアム宣言」と、1990年代の主要な国際会議で採択された国際開発目標を統合した発展途上国向けの開発目標です。2015年を期限に以下の8つの目標が設定されました。

①極度の貧困と飢餓の撲滅
②初等教育の完全普及の達成
③ジェンダー平等推進と女性の地位向上
④乳幼児死亡率の削減
⑤妊産婦の健康の改善
⑥HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
⑦環境の持続可能性確保
⑧開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

SDGsのスローガン「誰一人取り残さない(No one left behind)」は1990年代から国連でとりあげられてきた「人間の安全保障」の理念も反映しています。


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●女子差別撤廃条約と日本の課題

女子差別撤廃条約の発効にともなって設置された女子差別撤廃委員会は、条約締結国政府から提出された報告を審議して各国に対して最終見解(総括所見:concluding observations)を公表しています。最終見解にはそれぞれの政府に対する勧告と、次回報告書提出時にその実施報告を報告することになっています。
日本については、平成28年(2016年)3月に、日本の女子差別撤廃条約実施状況第7回及び第8回報告に対する女子差別撤廃委員会の最終見解が出されました。女性差別の法的定義の不在、女性の再婚待機期間や夫婦別姓、婚外子に対する法律上の差別的扱い、さらに女性を差別から守る法的保護の不在などの勧告がされています。その他にも、政治参加の欠如、困難を抱えた女性に関するデータの不足など勧告は多岐にわたっています。
2020年までに民法改正を含めた以下の3つの項目について、フォローアップを行い、委員会に提出するように要請されています。

(1) 民法改正(女性の婚姻年齢の引き上げ、夫婦の氏の選択、女性の再婚禁止期間の廃止)
(2) 性差別発言及びヘイトスピーチ規制
(3) アイヌ・在日韓国朝鮮人・移民女性等に対する偏見解消に向けた取組

委員会は、最終見解のなかで、すべてのレベル(国・広域、地方)の関連する国の機構、特に政府、省庁、国会両院及び司法に対し、最終見解の内容を周知するように要請しています。詳細については以下のリンクをご参照ください。



民法の改正について

2018(平成30)年6月13日,民法の一部を改正する法律が成立しました。
成年年齢の引き下げとともに、女性の婚姻年齢を18歳に引き上げ、男女の婚姻開始年齢を統一することとしています。2022年4月1日から施行されます。
その2年前の2016(平成28)年6月には、女性の再婚禁止期間が6ヶ月から100日に短縮されましたが、女子差別撤廃委員会が要請する廃止にはいたっていません。
女性の社会進出等に伴い,改氏による社会的な不便・不利益を指摘されてきたことなどを背景に,選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見が世論調査でも強まっています。

【参照】
民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について
選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について(法務省HPより)




女子差別撤廃委員会 日本の第 7 回及び第 8 回合同定期報告に関する最終見解(日本語仮訳 2016年3月配布)
(内閣府男女共同参画局HPより)


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このレッスンのポイント
  • 女子差別撤廃条約は、条約締結国に対して、あらゆる分野における男女差別の撤廃と積極的改善措置をとることを求めている。
  • 日本は女子差別撤廃条約の選択議定書を批准していない。
  • 第4回世界女性会議の行動綱領(北京宣言)は女子差別撤廃条約とともに国際的なジェンダー平等推進の枠組みとして重視されている。
  • SDGsはMDGs後継で、行動綱領もふまえた、国連の目標である。第5目標のジェンダー平等の実現を含め、17のゴール・169のターゲットからなる。

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