Lesson2 性別役割分担の見直し

日本の性別役割分担の現状について学びます。
【このレッスンのキーワード】

固定的性別役割分担意識
ワーク・ライフ・バランス
M字カーブ

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Lesson2 性別役割分担の見直し

日本の性別役割分担の現状について学びます。
●男女は均等に責任を担っているか?

男女共同参画社会基本法が目指すのは、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会です。
男女共同参画の推進とは、男女が「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)」に縛られずに生きる社会を目指すこと、でもあります。

しかし、現在の日本では、男性、女性という性別を理由として男女の役割を固定的に分ける考え方(固定的性別役割分担意識)が強くあり、男女で責任をもつ内容に大きな違いがみられます。
一例として家事に費やす時間の男女差に着目してみましょう。


上記のグラフは、6歳未満の子供を持つ夫の家事時間、育児時間を示したものです。日本は他の先進国に比べ、かなり低い水準となっています。

けれどもこの課題は、男性が家事により時間を費やすように心がけるだけでは、解決しません。大半の場合、男性は育児に時間が割きづらい状況にあります。「男は仕事」という意識のもと、男性は長時間仕事をする傾向があるからです。そのため、男性が家事・育児に時間を費やすには、男性の働き方(主には長時間労働の問題)の見直しや、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を進めることも求められます。

このように、「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)」に縛られずに男女が生きる社会を目指す男女共同参画の推進には、多くの要因や改善すべき点が複雑に絡まっています。基本法が目指す男女共同参画社会の実現は、個人の心がけや生活の改善だけで、乗り越えられません。社会全体の意識と構造改革が必要です。

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固定的性別役割分担意識

男女を問わず個人の能力などによって役割の分担を決めることが適当であるにも関わらず、「男は仕事・女は家庭」、「男性は主要な業務・女性は補助的業務」などのように、男性、女性という性別を理由として、役割を固定的に分ける考え方のこと。
(参照 第4次男女共同参画基本計画 用語解説)




ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」では、仕事と生活の調和が実現した社会は、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」とし、具体的には、以下のような社会を目指すべきとしています。

1.就労による経済的自立が可能な社会

2.健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会

3.多様な働き方・生き方が選択できる社会


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●M字カーブ

日本における固定的性別役割分担意識の強さがみられるのは、男女の家事・育児に費やす時間の差だけではありません。女性の就労傾向にも特徴があります。

以下のグラフは、女性の労働力率を年齢別に表したものです。日本では、出産・育児期にあたる年代にいったん低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇する、いわゆるM字カーブを描くことで知られています。
これは、結婚や出産を機に労働市場から退出する女性が多く、子育てが一段落すると再び労働市場に参入するという特徴があるためです。しかし、このようなカーブは、女性の社会進出とともに先進諸国ではほとんどみられなくなっています。国際的にみると、アメリカやスウェーデンなどの欧米諸国では、子育て期における就業率の低下はみられません。現在その状況が見られるのは、日本と韓国です。

つまり、日本は「男は仕事・女は家庭」という考え方のもとに社会制度・システムがつくられてきたので、女性は結婚や出産をきっかけに仕事をやめ、家事・育児に専念する傾向が強かったのです。



男性の育児休暇取得率

男性の家事・育児参加の指標としてあげられるのが、男性の育児休暇取得率です。
第4次男女共同参画基本計画(2016年―2020年)では目標値を13%としています。しかし2018(平成30)年の値は6.16%です。目標値を達成するために、より積極的な取組が必要です。
さらに男性は育児休暇を取得しても期間が短いことも指摘されています。7割近くが2週間未満(71.4%)、さらにそのうちの約半数は5日未満しか取得(36.3%)していません。100人の対象者のうち、2週間以上の育児休暇を取得する男性は1人または2人(1.76人)の計算になります。(厚生労働省『雇用均等基本調査』平成30年度より)


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●社会の変化と性別役割分担意識の変化

現在は夫婦ともに働く共働き世帯が増加しています。 1997(平成9)年以降は男性雇用者と無業の妻からなる世帯を上回り、その差は開く一方です。
そのような状況にあわせるように、人々の意識も変化しています。

上記のグラフは、性別役割分担意識の変化を示したものです。 1980(昭和55)年前後に比べ、この考えに否定的な人の割合が増加し、人々の意識が少しずつ変わっていることがわかります。

しかしながら、国際比較でみると、日本は男女ともに性別役割分担意識がまだまだ強く残っています。家庭における父親の役割として重要なことを集計したところ、日本では「働いて生活費を得ること」が最も高い一方、女性の活躍が進むスウェーデンでは「子供の世話をすること」が最も高くなっています。女性の理想のライフコースを、結婚・出産により家事に専念すると回答した人は日本では男女ともに8%程度いましたが、スウェーデンではほとんどいませんでした。 (『少子化社会に関する国際意識調査』平成27年度より)。

社会の状況と人々の意識は変化しています。家事分担・労働分担も見直していくことが重要です。


男女共同参画に関する世論調査

令和元年に行われた最新の調査では、「男は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に関して、以下の変化がみられました。

・性別に見ると、「賛成」とする者の割合は男性で、「反対」とする者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。
・年齢別に見ると、「賛成」とする者の割合は70歳以上で、「反対」とする者の割合は18~29歳、30歳代、50歳代で、それぞれ高くなっている。
・性・年齢別に見ると、「賛成」とする者の割合は男性の70歳以上で、「反対」とする者の割合は女性の18~29歳、50歳代、60歳代、男性の30歳代で、それぞれ高くなっている。

「令和元年度 男女共同参画に関する世論調査」 より


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このレッスンのポイント

日本の社会は、男性、女性という性別を理由として役割を固定的に分ける、固定的性別役割分担意識が根強く、この見直しが課題となっている。


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